スタッフインタビューStaff Interview

演出家から見た幻調乱歩

     

演出 扇田賢

演出家となったきっかけついて教えてください。

実は元々は銀行員をやっていました。でもあまり向いていないなと感じて、役者に転向したんです。その後、自分の劇団を持つ様になり、見様見真似で劇団員に教える様になりました。とある作品でプロデューサーの方に演出として一緒にやりませんかとお声がけいただいて、せっかくお声がけいただいたのだから断っては勿体ないと思い挑戦したのですが、そのときは何もできなくて。ほかのスタッフさんにも怒鳴られてしまう様な有様だったのですが、そこからなにくそという思いが生まれて、役者と並行しながら演出家の道を歩き始めました。自信を持って演出できる様になるまでに5、6年はかかりました。今は演出に専念してもう10年くらいでしょうか、それでも演出家の中ではまだ経験が浅い方だと思っています。

演出するためにどのようなものからインスピレーションを得ていますか?

もちろんたくさんの舞台も見ていますが、色々なジャンルに触れる様にしています。派手にしたいけど演出イメージが湧かなくて悩んでいた舞台があったのですが、韓流のライブを配信で見た時に思っていた様な派手さがそこにあって、イメージを固めることができた、ということもありました。
私は一つのことに集中したいタイプで、演出プランに煮詰まってしまった時にはとことん考え抜きます。他のことをしてリラックスしてぽんと出るタイプではないみたいで、息抜きとかはしないですね。舞台と舞台の合間などで休みの日が出来たときは山に行ってリフレッシュしたりはしますけれど。

今回演出なさった幻調乱歩シリーズは「生演奏朗読劇」ですが、通常の舞台と作り方の違いはありますか?

通常の舞台では、演出プランは考えるものの稽古をしながら役者さんやスタッフらからもアイデアをもらって、それぞれの希望や良い所を見つけ合い、段々と作られていくことが多いです。だから稽古の物量が多く必要になってきます。
朗読劇は、通常の舞台に比べると稽古の時間が短いこともあり、それぞれのキャストさんが事前にイメージを作り込んできて、稽古では擦り合わせる感じになります。役者さんは稽古の物量で完成に到達するスタイルである一方で、声優さんは完成に近い形から稽古に入られる印象で、普段のお仕事のスタイルの違いを感じますね。
幻調乱歩シリーズは役者さんよりも声優さんの方が多い朗読劇ですので、稽古場では詰め込むというよりは、もうちょっとこういう感じでやっても良いですか、とお互い提案しあう場になりますね。

稽古に入った際、キャストの皆さんが作り込んできた役作りが、演出イメージと違うことはあるのでしょうか?

そういったことは今までほとんど無いですね。キャストさんへの信頼度は高いです。役というのはバランスだと思っていて、役同士の関係性があって物語的に強弱があって。演出家としてはキャストさんごとの正解を考えて、どんな役になればそれぞれのキャストさんが輝くのかを考えます。たとえば花崎マユミ役は小泉萌香さん、小林愛香さん、天城サリーさん、内田彩さん、と多くのキャストさんが演じられていますが、キャストさんそれぞれの解釈もあって、それをどうやって活かそうかを考えてキャストさんと話し合います。でも大体稽古の時に一度お話しすると、皆さん思った感じに修正をしてくださいます。

演出プランはどうやって作るのですか?

基本的に一人でプランを練っています。個人的に気をつけていることは「臭み」が出ないように心がけています。演出家の個性を出すよりはキャストの皆さんの個性を活かすことをしたいと思っていて、さりげなく、でも実は結構すごいことをしている演出というのを理想にしています。
今はAIを活用される演出家の方もいらっしゃるようですが、私は使っておらず、流行りの最新技術よりは昔ならではのアナログな手法でできないかを考えています。アナログは実は結構お金がかかることもあり、どうやって表現するか毎回頭を悩ませています。

演出プランを考える起点としてまずは台本があります。最初から最後まで読み込んで、どういうテイストでやっていくのかを考えることから始まります。雰囲気を派手にしようとか、怖い感じにしようかとか、テンポの良い感じにしようかとか、台本から受け取ったファースト・インプレッションを大事にしています。

そして段々と演出を細かく、カット割をしていきます。
もちろんお客様に舞台のどこを見ていただいても良いのですが、演出上のガイドラインとして、お客様の目線で見て欲しい流れを作っていきます。照明を当てて見てもらいたい所へ視線を誘導することもありますし、お客様は基本的に喋っているキャストさんに注目しますから、キャストさんが演じる魅力的な表情や反応をお客様が見逃すことのない様に、キャストさんのリアクションのタイミングを図ったりしています。
起承転結は分かりやすく、どこを見てもらってどのセリフを立たせようか、そうやって演出プランが組み上がっていきます。
最近よく取り入れる演出があるのですが、刺さって欲しいセリフの前に音楽がかかっている様にして、セリフの瞬間は音楽を止めてもらって沈黙を作ります。そうするとセリフが際立つんですね。視覚的に、聴覚的にポイントをいかに作っていくかが演出、ということになりますね。

扇田さんからみた、今回の幻調乱歩4の見どころはどこでしょうか。

まず感じたのは、今までよりも見どころの数が多いということでした。ネタバレを避ける意味で詳しく言えませんが、観劇中に飽きることは無いでしょう。今回とても尺の長い台本をいただいて、演出としてはそれを短く凝縮させていくのですが、色々なことが起きるので読んでいて尺が長い気がしないんです。でも文字量をカウントするとかなり長い劇になってしまう。脚本を書かれている細川さんの設定が細かく出来ているから、どこで尺を抑えるか悩みました。

幻調乱歩シリーズとほかの朗読劇での違いを感じる部分はありますか?

幻調乱歩シリーズは朗読劇として正しい在り方を示していて、お客様の想像力を奪わないことができている作品だと感じています。私が演出を始めたばかりの頃に携わった舞台で、星空を見上げて登場人物が感動するというシーンがあり、どのような星空を作るか悩んだことがあったのですが、その時に私の師匠からこの星空で人が想像できるものに勝てるのかと問われ、キャストさんの顔にピックアップして、その顔をお客様に見ていただいて、どんなに綺麗な星空なのか想像してもらう方法もあるのではないか、と教えていただきました。小説を読むことに近い印象で、お客様ごとに解釈の余地がある、想像力のある朗読劇が幻調乱歩シリーズとしての見どころかもしれません。


ありがとうございました。


ホーム

スケジュール・チケット

日程


8/308/319/1
13:00
18:00
19:00

チケット


一般

¥13,000(全席指定・税込)

U-23席

¥8000(税込)
後方列

プレイガイド

一般販売[先着]
受付期間
8月9日(土)10:00~

イープラス

CNプレイガイド

Pコード:535-787
チケットぴあ

サンライズインフォメーション 0570-00-3337(平日 12:00~15:00)

※未就学児入場不可
※車椅子席をご利用のお客様は、チケット購入・発券後<サンライズインフォメーション>までご連絡ください。
※申込状況により、一般発売まで抽選の受付がない公演日(土日・千秋楽日等)、または受付がない席種があることもございます。予めご了承ください。
★U-23席について
こちらのチケットは、公演当日に23歳以下の方が対象のチケットとなります。
公演当日は入場時に年齢を確認させていただきます。必ず年齢が確認できる身分証明書をお持ちください。